HOIKUSHI JOB JOURNAL

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保育について考える

【スポーツ×幼児教育】スポーツを通じて子どもたちの「社会性」を養う

2015年の創設以来、着実に活動拠点、受講生数を伸ばしている幼児〜中学生を対象にしたスポーツ団体「JASSBA」。その理念や幼児がスポーツをする意義について代表理事の小嶋満さんにインタビューしました。

近年子どもたちの体力は上下差が大きくなってきている

ー社団法人日本スポーツサポートベース(以下、「JASSBA」)はどんな団体ですか?
JASSBAは、スポーツを通じて子どもたちの体、心、人格、そして個性を伸ばすことを目的とした総合トレーニング教室です。現在、幼児から中学生を対象に、関東3拠点、関西1拠点でフィジカルトレーニング、メンタルトレーニング、食生活指導、メディカルケアを総括的に指導するレッスンを開いています。
トレーニングといっても、アスリートを養成するような高度なスポーツ能力の向上を目指すものではなく、あくまでも子どもたち一人ひとりが毎日行きたくなる楽しい場であること、普段の生活では出会わない年齢や違う地域から来るたくさんのと触れ合えるコミュニティであることを大切に考えています。


ー子どもにとってスポーツをする意義とは?
子どもの成長に大切なことは、子ども自身が目標を達成しようとする自発性であったり、それを心から「楽しい」と感じながら取り組める環境や雰囲気、仲間との関わり合いにあると思っています。まさにそれは、スポーツが本来持つ素晴らしさそのものであり、その子の主体性を引き出しながら成長を手助けしていける活動になります。
また、近年子どもたちの体力は上下差が非常に大きくなってきていると言われており、当団体で行っているフィジカルテストのデータを見てもそれは明らかです。20年前と比較すると、並外れた体力を持っている子どもが増えている一方、平均を下回る子どもたちが続出しています。これは環境の変化が原因の一つであり、現代では意識的にスポーツを日常に取り入れることも大切になってきていると考えています。

子どもたちの心の動きも敏感に感じ取りながら、励まし、讃え、応援する

ーHOIKUSHI JOB JOURNALは保育の仕事に携わる方向けのメディアです。保育園に通うような幼児向けにはどのようなレッスンをされているのでしょうか
幼児クラスでは、何よりもまず楽しくスポーツに関わることを第一にレッスンを構成しています。ランニングやコーン、ラダー、ボール、フラフープ等の小道具を使用したトレーニング等、毎回内容を少しずつ変えて、子どもたちが純粋に楽しめる活動を工夫しています。
また、JASSBAはトレーニング教室ですが、身体面だけではく精神面を伸ばしたり高めたりするための支援を大事に考えています。例えば、3歳の子が「ここまでやる」と決めた目標の設定が高すぎたとき、周りから見ればすごくその子は良く出来ているのに「自分は出来ない」と感じているとします。すると、次第にやる気を失ってしまいます。それはその競技や目標に向かうやる気だけでなく、何かにチャレンジしたり、自信をもって目の前のことに向き合う力を失わせてしまうことにつながっていきます。
あるいは、子どもは新しい場に突然入ると、人見知りしたりなかなか馴染めずに気後れしてしまうこともあります。「何か周りはすごい」「でも自分は出来ていない」と、周りとの距離感や感じ取った差から自信を失うこともある程、敏感で繊細ですよね。
そういった子どもたちの心の動きも敏感に感じ取りながら、励まし、讃え、応援する。私たちトレーナーだけでなく、保護者の方も含めた周りの大人がどう立ち振る舞うかも、子どもの成長に良くも悪くも影響することを非常に意識しています。


ー素晴らしいですね。保育園や幼稚園からも引き合いがあるのではないでしょうか。
はい。JASSBAのコーチを保育園や幼稚園に派遣し、園児向けに体操教室を行っています。内容は普段のJASSBAの教室と同じように、小道具を使った運動が中心になります。派遣先の保育園さんや幼稚園さんのご意向にもよりますが、園内でのトレーニング教室では、0〜5歳全園児を対象に様々なプログラムがあります。もちろん0〜1歳くらいの子は、保育士の先生にもサポートしていただいて行いますが、コーチが見本を見せて行うシンプルなレッスンなので簡単に取り入れていただけますよ。

何をやるかよりも「どう取り組むか」の方が大事

ーJASSBAのレッスンを受けると、率直に子どもにとってどのような変化が期待できますか?
まず目に見えて分かりやすいのは身体能力の向上です。かけっこで後ろの方の順位だった子が一番になったり、日常の飛んだり走ったりする動きが軽快になったり。
そして、それ以上に大きな変化が子どもの内なる心にあります。小さな成功が大きな自信につながったり、色んなお友達との出会いが自分の個性を肯定するポジティブな人格形成につながったり、そういった社会性が養われていくことが大きな変化であり、私たちが大切にしていることでもあります。


ー今後の展望は?
今後は教室の数を少しずつ増やしていき、一人でも多くの子どもたちの成長をサポートできればと思っています。また、子どもの成長を見守る保護者の方の育児支援やトレーナー養成にも力を入れていきたいと考えています。
例えば、子どもの運動能力や精神面の成長を助けるというと、何かテクニカルなことが必要なのでは?と考えられる方も多いですが、何をやるかよりも「どう取り組むか」の方が大事だと思っています。
先程のかけっこの話で言えば、大人はどうしても理由付けをしたくなりその先に正解を求めがちだと思うんです。
走り方だったり、この子の性格だと決めつけたり、遺伝だと考えてみたり。走り方を変えなければと思うと、走り方を教わるのが良いと思ってしまいますよね。でもその走り方とは質であり、その質はどう養うかと言えば、走って感覚をつかむ数。つまりは量質転換であり、幼児クラスにはぴったり当てはまる図式です。ただそれをスパルタ的にやるのではなく、どう楽しく重ねていくか。単に「走って!」と何往復もさせられたら大人でも嫌ですよね。あるいはタイムを計るのか。
JASSBAでは、子どもは何か逃げるものに対して追いつきたい、捕まえたいという気持ちから、どう取り組むべきかのプログラムを考えて構成していきます。
そういった視点は保育や育児にもきっと役に立てるのではないかと思っています。

【団体ホームページ】
一般社団法人日本スポーツサポートベース(JASSBA)



【プロフィール】
小嶋 満さん
パーソナルトレーナー/一般社団法人日本スポーツサポートベース代表理事/株式会社COZY代表取締役

1982年 長野県箕輪町生まれ。(株)グローバルスポーツ医科学研究所に勤務後、カナダ・アメリカにてフィジカルトレーナー/パーソナルトレーナーとしてアスリートを中心に指導経験を積む。2004年に帰国後、パーソナルトレーニングジム フィジカルアーキテクトを経て独立。独立後は主にジュニア期の指導に力を入れ、小学生から中学生アスリートへの指導とスポーツ環境に関する調査をはじめる。徐々に指導対象の幅が広がり、現在では幼稚園児からプロアスリート、そしてシニア層までサポートをしており、それぞれの人にあったスポーツとの関わり方を提案している。